好きなものを書く

好きなものを紹介していきたい

ワラジムシ

 虫は毒や針を持っていなければ割となんでも好きなのだが、特に思い入れがあるのは小さい頃庭の石裏によくいた、ワラジムシとダンゴムシだ。彼らは足が遅く飛べないため幼稚園児でも簡単に捕まえられる。

 ダンゴムシとワラジムシ、よく似ているがダンゴムシはその名の通り団子のように丸まる。まうまうタイプだ。

 ワラジムシは草鞋のように平べったく、丸まらない。まうまあないタイプである。

 ダンゴムシは丸まってる間は動かないのでつまらないが、ワラジムシは丸まらないのでずっと動いていてくれる。幼児から見たらずっと動くほうが楽しいのだ。

 

 ダンゴムシで思い出すのは幼さ故の罪深い思い出だ。しかも二つある。ダンゴムシ以外ではもっとある。

 時効だと思って懺悔をすると、まずダンゴムシをひたすら集めて虫かごに入れていた私は、逃がすのを忘れてしまった。その日の夜は雨だった。

 次の日の朝、プラスチック製の虫かごは水をいっぱいにたたえていた。おそらく集めたダンゴムシは溺死しただろう。死後地獄で100年位水責めにあってもおかしくないことをした。

 

 もう一つ。ワラジムシもダンゴムシもメスが腹に卵を抱えて育児をする。ある日それに気づき観察していた私は、とあるワラジムシの卵に足が生えていることに気づいた。ワラジムシは丸まらないため卵の観察がやりやすいのだ。おそらくその卵は孵化寸前だったのだろう。好奇心のままに卵を擦ると、小さくて白いミニミニワラジムシがわらわらと出てきた。超かわいかった。あの時の私は孵化の手伝いをしてあげたといいことをしてやった風に思っていたがどう考えても早産の原因になっていた。卵がうまいこと孵化寸前だったから良かったものを一つ間違えたら大量虐殺であった。

 

 

ゴクリン

 ポケモンの中では一番ゴクリンが好きだ。

 むにっとした口といい体色といいくちぱっちに似ているから。眠そうな線目もかわいいし、背中のアーガイルがお洒落だ。黄色い触角?を掴んでイヤイヤされたい。

 進化したマルノームも目がくりくりしててかわいい。どちらもスライムみたいな感触がしそう。

 戦力的な魅力としては、マルノームは攻撃と特攻、防御と特防がどちらも同値であるので、何特化型か読みにくい。ステータス的には耐久型にした方がいいが、のろい重ね物理やアシッドボム特殊などアタッカーもできなくはない。そういうなんでもできる(器用貧乏とも言えるが)ステータスがあったため、色んな戦法のマルノーム6匹パーティが作りたい、と思って厳選や努力値にも手を出した。作り終わってから同じポケモンパーティはバトルに出せないというルールに気づいたのだが。

 でもそれをきっかけに他のコンセプトパ育成やトリプルバトルなどにも挑戦できて、ポケモンの遊び方の幅が広がった。

 最近はゴクリンのかわいさが認知されたのか、やたらとグッズ化されているのでありがたい。一番くじの景品のグラスは二つ買った。特にぬいぐるみがかわいい。

 

ポケモンセンターオリジナル ぬいぐるみ ゴクリン

ポケモンセンターオリジナル ぬいぐるみ ゴクリン

 

 

 

ポケットモンスター ぬいぐるみ雑貨シリーズ もちふわクッション ゴクリン 高さ25cm
 

 

 

くちぱっち

 たまごっちの中では一番くちぱっちが好きだ。

 色鮮やかな黄緑色、つぶらな点目、むにっとしたくち。多分アザラシの腹のようなぷにぷにとした感触に違いない。

 くちぱっちは外見も可愛いが性格もかわいい。

  • のんびりやで温厚な性格。
  • 何をやるにもワンテンポずれている。
  • 空想好きなロマンチストで、気がつくと口が開いている。
  • 語尾に「〜だっち」を付けて話す。
  • いつも腹を空かせている。
  • マイペースとみんなに呼ばれる。

参照:Wikipediaくちぱっち - Wikipedia)

 死ぬほど可愛い。あるくの遅そう。歩いたらぽてぽて音がしそう。腹ペコ属性まである。くちぱっちを飼いたい。

 

 現在売られている、機能が発達したたまごっちではなく、最初期の、ドットで構成されたたまごっちの方が自分にとっては馴染み深い。

 ちなみに友人はぎんじろっち(ペンギンみたいな色をしているが、「情に厚く涙もろい、好きな映画は寅さんシリーズ」と俳優モチーフっぽさがある)が好きだったため、休み時間に「くちぱっちとぎんじろっちどっちが可愛いと思うか」というアンケートを取ったことがある。結果はぎんじろっちが勝ったような気がする。

 しかし、ぎんじろっちは現在のたまごっちには存在していないが、くちぱっちは存在している。

 くちぱっちの可愛らしさは現在にも受ける汎用性のあるものだと、バンダイが認めてくれたようで嬉しくなった。リニューアルされたくちぱっちは目がくりっと大きくなり、頬にハイライトができて、表情豊かになった。どちらも可愛い。アイドルモチーフや花モチーフなど華やかなキャラが多くなってきた現在のたまごっちの中でくちぱっち正直浮いてない?とも思うがその空気の読めなさも可愛い。

 おまけに家族もできた。ままもぱぱもおとうともいる。一人じゃない。良かったねくりぱっち。くちぱっち族だけが育成できるゲームがあったら買ってた。

 さらに、くちぱっちは単体でキャラクターグッズ化もされている。くちぱっちのポテンシャルすごい。

 

sorekuchi.com

 

いくら

 いくらが好きだ。というか魚卵が好きだ。

 いくらもとびっ子も数の子も好き。だから正月は天国である。

 でもいくらが一番好きだ。一粒でご飯一口位はいけると思う。

 魚卵が好きなら鶏卵も好きなのか、と言われると鶏卵は違う。生卵はあまり好きではないし、半熟玉子も以前は嫌いだった。最近平気になってきているが、進んで食べるほどではない。だし巻き卵は好きだが、砂糖入り卵焼きは嫌いだ。おかずなのに甘い意味がわからない。酢豚のパイナップルと同じである。

 しかし、卵の黄身を醤油漬けにしたものはそこそこ美味しかったように思う。残った白身の処理に困ったので頻繁には作らないが。

 ということは生の卵を醤油やだしで味付けしたものが好きなのかもしれない。

 魚卵が好きなので魚卵と同様に小さくプチプチしている虫の卵も醤油漬けにしたら好きになるんじゃないかという気がしている。衛生面や、ご飯のおかずにできる量を確保するために何匹の虫の腹をかっさばくんだ、とコスト面から食べはしないが。

クラフト・エヴィング商會

 本なのか店なのかわかりにくいこの名前は、吉田篤弘氏と吉田浩美氏二人の創作ユニットで、本を書いたり装丁を行ったりしている。

 最初に出会ったのは高校生のころ、図書館で変わったタイトルの本を見つけた。見れば、作者名も何やらよくわからない。

 ページをめくってみると、小説よりエッセイより写真が多い。しかし、写真集やカタログのように写真を見せる本でもなく、画像に合わせた短編などもある。

 よくわからない本だが、薄いし早く読み終わりそうなのでついでに借りていこう、と軽い気持ちで借りた。

 

テーブルの上のファーブル

テーブルの上のファーブル

 

  読んでみると、雑貨の詰め合わせのような、短編と写真を味わう本だったが、作者の言葉遣いがとても気に入った。

 そこで、幸運にも図書館にはクラフト・エヴィング商會の本や、クラフト・エヴィング商會商會の一員である吉田篤弘氏の本があったため、手当たり次第に読んでいくことにした。

 そこで、一冊の本に出会った。 

クラウド・コレクター―雲をつかむような話

クラウド・コレクター―雲をつかむような話

 

  この本は「祖父の旅行かばんから出てきたアゾットという国の旅行記」である。いくつかのエリアに区切られていて、エリアごとに名物の酒が作られており、祖父が持ち帰った酒瓶や建物のパンフレットなどはカラー写真で大きく載っている。

 ネタバレはあまりしたくないので詳しく話せないが、この本の何重もの仕掛けにとても驚かされ、またアゾットからの土産がとても綺麗で、ほしいと思うものばかりだった。

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

 

  なお、文庫本も出ているが色とりどりのアゾット土産が見たいなら単行本の方が良い。

 この本は何度引っ越しても必ず持ち込んでいる。

 クラフト・エヴィング商會は作中に登場する小道具を自分たちで作成していることが多い。

 

どこかにいってしまったものたち

どこかにいってしまったものたち

 

 

ないもの、あります (ちくま文庫)

ないもの、あります (ちくま文庫)

 

   架空の道具や、

らくだこぶ書房21世紀古書目録 (ちくま文庫)

らくだこぶ書房21世紀古書目録 (ちくま文庫)

 

  架空の本に、 

じつは、わたくしこういうものです (文春文庫)

じつは、わたくしこういうものです (文春文庫)

 

  架空の職業まで作り出している。

 あったらいいよね、あれば楽しいよね、と思えるものばかりだ。

 

 また、クラフト・エヴィング商會の片翼を担っている吉田篤弘氏の小説も素晴らしい。

 「つむじ風食堂の夜」は映画化もされている。 

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

 
つむじ風食堂の夜 [DVD]

つむじ風食堂の夜 [DVD]

 

 長編も書いているが、初期の頃は短編集が多かった。

 彼の短編は少し変わった仕事をしている人たちの日々の生活が丁寧な文章で優しく書かれていて、私は吉田篤弘氏の本を読むと、彼らのように生きたくなる。

 

 

 

 

 

成田良悟

 成田良悟との出会いは中学生の頃。

 星新一で文庫本を読むのに抵抗がなくなった私は、学校の図書館に入り浸っていた。

 星新一は好きだったが、SFというよりはミステリー小説に興味があったため、アガサ・クリスティなどミステリー作家の作品を読んでいたのだが、ある時文庫本の表紙を眺めていると、文庫本らしくないタイトルに出会った。引き抜いてみると、文庫本らしくない漫画のような表紙。

 中身を見ると、これまた文庫本らしくない砕けた文章、間に挟まる漫画のようなイラスト。たまにはこういうのもいいか、と思って借りてみた。

 それが、阿智太郎作の「僕の血を吸わないで」であった。

 

  成田良悟じゃないんかい、と思われるかもしれないが、この作品もとても面白かった。今まで触れたことのなかったギャグ調の軽い文体で、吸血鬼に好かれた主人公とのいわゆるラブコメがさくさくと読めた。

 そこからミステリー小説から、電撃文庫作品、いわゆるライトノベルにも手を伸ばすようになった。

 ライトノベルも読むようになったある日、新刊コーナーに変わったタイトルのライトノベルがあった。意味のわからない英語。表紙も、上記のライトノベルよりは実写に近く、可愛らしさはあまりなく、正直言ってちょっと近寄りがたい、という印象があった。

 しかし、それが逆に好奇心をそそった。どういう内容のものなのだろう。説明を読むと、マフィアの話のようだ。

 絶賛厨二病中だった私は、マフィアなどのアンダーグラウンドに憧れていた。ミステリー小説が好きなのもあっただろう。

 そこで、成田良悟と出会った。

 

  読んでみて、驚いた。

 底抜けに明るい泥棒バカップル。

 マフィアの三兄弟。

 マフィアではなく、カモッラの若手の青年。

 不老不死を求める老人と、その忠実な下僕であるホムンクルス

 『不老不死の酒』を中心に個性豊かなキャラクターたちそれぞれの思惑が絡み合い、重なり合い、やがてはきれいに収束する。

 とてもまとまらないであろうと思われる馬鹿騒ぎ(イタリア語でbaccanoというらしい)を綺麗にまとめるその手法を、私はバッカーノで初めて読んだ。

 イラストがリアル調であることなど気にならなくなっていた。この作風にはこの絵柄しかないとも思えた。

 なおBaccano!シリーズはアニメ化もしている。私はこずかいをはたいてDVDを買った。特典に描き下ろし小説がついていたが、今ではそれらも単行本化されている。

  映画「スナッチ」をオマージュしたOPが有名になったのを覚えている。

 

 図書館にあるBaccano!シリーズを全部読み終えた後、他の作品にも着手した。

  吸血鬼と人間が共存するドイツの島を舞台にしたステレオタイプな吸血鬼らしい能力以外の吸血鬼がたくさん出てくる「ヴぁんぷ!」シリーズ。

ヴぁんぷ! (電撃文庫)

ヴぁんぷ! (電撃文庫)

 

  池袋を舞台とした、デュラハンカラーギャングたちの恋物語が見られる「デュラララ!!」シリーズ。

  これもアニメ化されている。

デュラララ!! Blu-ray Disc BOX

デュラララ!! Blu-ray Disc BOX

 

 開発途中で捨てられた越佐大橋を舞台に、特殊能力はない(一応)「越佐大橋シリーズ」。

バウワウ!―Two Dog Night (電撃文庫)

バウワウ!―Two Dog Night (電撃文庫)

 

  どちらもどんどんと登場人物が増えているのに、ストーリーは奇跡のように破綻しない。

  短編集5656!では登場人物たちの恋愛などが垣間見えて良い。

 短編集といえば、このどこかで見たようなタイトルの短編集は、舞台は埼玉県所沢市となっているものの、魔法少女や都市伝説など、ジャンルは様々。共通点は、「針山」という普通のサラリーマンがどこかでほんのり関係しているだけ。しかし最後の書き下ろしの一遍で収録されている全ての作品のキャラクターが一同に会する所で成田節が垣間見える。

 さらに、Baccano!シリーズやヴぁんぷ!シリーズの挿絵をしているエナミカツミと、越佐大橋シリーズやデュラララ!シリーズの挿絵をしているヤスダスズヒト両氏の挿絵が見られるので少しお得感があると思う。

世界の中心、針山さん (電撃文庫)

世界の中心、針山さん (電撃文庫)

 

  現在は電撃文庫以外でも、メディアワークス文庫で作品を出したり、

 

 漫画の原作を担当していたりするが、学生時には出ていなかったのでこれらはまた別の機会に紹介する。

 それから、元々はエイプリルフールの企画であった、「Fate」シリーズの外伝的作品、偽りだらけの聖杯戦争も発行している。

 エイプリルフール企画だったため年に一度しか出版しないという制限があり、まだ完結していない。

 

 数多くの作品があるが、私が一番好きなのはやはり一番最初に読んだBaccano!シリーズだ。マフィアやカモッラが存在する世界観も好きだし、好きなキャラクターも多い。

 DSで出たゲームも未だに持っている。電車で起こる馬鹿騒ぎ、Baccano!1931に分岐を付け加えたものだ。ゲーム内のグラフィックはアニメの流用である。

  

 

 とにかく学生時代は成田良悟作品を読みまくったし、今でも新刊は買って読んでいる。

あらゆる紹介文で言われまくっているだろうが、とにかく個性のある人物を生み出すのと、人物が起こすドタバタ群像劇、それからその群像劇をまとめるのがとても上手い。

 成田良悟作品を全部読むまで死ねないと本気で思っていたし、この人の作品を読めるだけで生きる意味があると思った。尊敬する人物は?と言われたら星新一成田良悟と答えよう、と思うくらいにこじらせまくっていた。ツイッター成田良悟をフォローするために始めた。

 身体をよく壊すことがWikiにも書かれているが、どうか私が死ぬまでは生きていてほしいと思っている。

  

 

 

 

星新一

 一番最初に紹介するのはこの人と決めていた。

 星新一との出会いは小学生の頃。

 図書館のルパンシリーズから児童用ミステリーを読破し、他に読みやすく面白い本はないかと親に聞いた時、親に進められたのが星新一作「ノックの音が」だった。

 

ノックの音が (新潮文庫)

ノックの音が (新潮文庫)

 

 

 この小説は全編「ノックの音がした。」という一文から始まっている。主人公はどこにいて、誰がノックしたのか。泥棒?殺し屋?宇宙人? 

 異なるシチュエーションに、異なるオチ。

 ここから一気に星新一に魅了され、家にある星新一の作品はすべて読み、図書館で借りるようになった。

 それまでは、イラストのない文字だけの本は大人が読むもので子供には難しいと思っていた。絵本や児童文学から、大人が読むような、普通の文庫本への橋渡しをしてくれたのは星新一だった。

 星新一のショート・ショートの中で、特に印象に残っていた話がある。(以下ややネタバレ)

 人間の魂を天国に導く役目の天使が、ルーチンワークに飽きてサボるようになってしまった。そのため神様は、天使を「金髪組」と「赤毛組」に分けて成績の悪い方に罰を下す、といって競わせることにした。

 二組の天使は、最初のうちは普通に話しかけて魂を勧誘していたのだが、それだけだと差がつきにくい。天使たちは、やがて生前にいい匂いのする香水などの特典を与えることで勧誘を始めた。片方よりも、もっといいサービスを……としていくうちに、人間社会は便利の極みになり、人間たちは働かないで、天使の言う通りに魂を生産し続ける、魂工場になりましたとさ……という話だったはず。多少は、うろ覚えの点があるかもしれない。

 星新一のショート・ショートにしては少し長めで、短編小説と言ってもいいかもしれない。

 文明が身を滅ぼす、とかアイロニックな教訓もあるだろうが、幼い私は天使達が次から次へと出してくる便利アイテムが、ドラえもんの秘密道具みたいでワクワクしていた。

 大人になってから、この作品はどの本にあったのだろうと家の本を総ざらいしてみたのだが、ない。図書館で借りて読んだものだったらしい。タイトルのわからない話をノーヒントで探すのは大変だ。と、手当たり次第借りてみてようやく出会ったのだが、その作品は「天国からの道」。

 ショート・ショートにしては長めのせいか、処女作などを集めた「気まぐれスターダスト」に収録されていた。

 

気まぐれスターダスト (ふしぎ文学館)
 

  星新一はショート・ショートという短編小説よりも短い小説の名手であり、平易な文章と予想外の結果に魅了された。1001編ものショート・ショートを書き、百科事典のような厚さの全集まで出版された。これを購入することは私の夢のひとつである。

星新一 ショートショート1001

星新一 ショートショート1001